ペルーは世界最大のじゃがいも大国。
毎年5月30日には「Dia Nacional de la Papa(全国じゃがいもの日)」というのも制定されているんですよ。
では、ペルーにいくつの種類のジャガイモがあるのか。
皆さん、ご存じですか?
今回は、『ペルーのじゃがいも』にルーペ!!
ペルー人にとってジャガイモは主食のひとつ
ペルー人にとって、じゃがいもは食事に欠かすことのない食材のひとつです。
日本でじゃがいもを使った料理と言えば、肉じゃが・カレーライス・クリームシチュー・ポテトサラダ・コロッケ・フライドポテトあたりを思い浮かべると思います。
2歳と4歳の子供がいるニッペママは、じゃがいもと聞くと、おかあさんといっしょの「すごいぞ!じゃがいも」という歌を思い出します♪りさお姉さんのキレの良い動きが好きでした。
という余談はさておき。笑
ペルー人にとってのじゃがいもの価値観は日本人とは違います。
ペルー人にとってじゃがいもは主食
ニッペママは、夫の実家でよくペルー料理を食する機会があるのですが、やはりじゃがいもはどの料理にも登場しています。
では何故こんなにじゃがいもがペルー人にとって欠かせない存在となったのか。
その歴史をのぞいてみましょう!
ジャガイモの歴史はペルーから始まった
今や世界中の食卓に登場するジャガイモですが、
そのルーツをたどってみるとペルーにたどり着きます。
じゃがいもは、アンデス高地(ティティカカ湖畔)が原産の食べ物。
ペルーから始まった農作物なのです。
そしてその歴史は古く、なんと紀元前8000年前まで遡ります。
ジャガイモが世界に広がるきっかけとなったエピソード
ペルーの公用語がスペイン語であることからもわかるように、その昔ペルーはスペインの植民地でした。
植民地とは
goo辞書より引用
ある国からの移住者によって経済的に開発され、その国の新領土となって本国に従属する地域。武力によって獲得された領土についてもいう。
このことが、じゃがいもがヨーロッパ大陸まで広まったことに非常に深い関わりがあるのですが、じゃがいもの歴史について調べてみると、いくつかの説があることがわかります。
- 説1:1555年(天文19年) インカを侵略したスペイン人が自国に伝えた
- 説2:1570年頃 船乗りや兵士たちが新大陸のお土産として持ち帰った
- 説3:1550年~1575年 スペインの修道士たちの手によってもたらされた
などなど。
セビリアのとある病院の書庫には「1573年にじゃがいもがスペインに存在した」という記録が残っているようなので、1555年から1573年の間に普及したということになるでしょう。
じゃがいもは冷涼な環境で良く育つ作物です。
瞬く間にヨーロッパ地域に広がりを見せたじゃがいも。
1840年代の初めには、他の農作物を育てるには不向きな気候だったアイルランドでジャガイモは大流行。一気に普及し始め、普及に伴い人口も急増していったのです。
わずかな土地を借りれば栽培することが可能で、豊富な栄養も摂取できるということで多くの人がジャガイモ栽培を始めるようになり、結婚や出産も早期化したという背景があるようです。
こうして、国民の約半数にあたる人々が、食事ををジャガイモのみに頼るようになったアイルランドですが、1845年、事件は起こります。
ジャガイモ飢餓(Irish potato famine)-1845年-
秋のことでした。
冷たい天候に長い雨が降り続いたジャガイモ畑に異変が。
疫病にかかったジャガイモの葉は黒ずみ次々と枯死していき、
その結果、アイルランド全土でジャガイモがほとんど収穫できませんでした。
これが何を意味するのか。
そう。主食をじゃがいものみに頼っていたアイルランド人は、食を失い、どんどんと飢餓に追い込まれていったのです。
当時の推定人口900万人のうち、飢餓で亡くなった方の人数は100万人以上。
そして200万人近くの人々が、北米やイギリスへの移住を余儀なくされたのです。
この数字から見ても、歴史上でどれだけ世界的に大きな影響を及ぼした出来事かがお解りいただけるかと思います。
のちに、このジャガイモの異変の原因をつきとめたのは、ドイツの植物学者De Bary(ドゥ・バリー)氏。
1861年、この菌は一種のカビであり「Phytophthora infestans」という学名が名付けられました。
インカの知恵がペルーの飢餓を防いだ
アイルランドよりも早くかららジャガイモを主食とするペルー。
ではなぜ、アイルランドのような飢餓が起こらなかったのでしょうか?
違いはこれです。
1つの耕地に多種類のジャガイモを栽培していた
1つの畑でいくつかのジャガイモを混ぜて栽培することで、全滅を防いでいたというわけなんですね。
賢い!!
これぞインカの知恵ですね。
この多品種栽培というの農業手法によって、インカ帝国は守られていたのです。
アンデス地域に住む小規模農家のコミュニティを保護する称賛に値する取り組みのおかげで、特性、内容、品質の異なるこれらのジャガイモ品種が可能になりました。
餓をなくすことに加えて、じゃがいもはペルーの美食ブームに決定的な貢献をしました。
ペルーのジャガイモをお祝いする日
冒頭部分でも少し触れましたが、ペルーの毎年5月30日は「全国ジャガイモの日」
2005年の設立以来、アンデスの文化の証として、じゃがいもの消費の促進・じゃがいものメリットや多様性を世界に示すことを目的とし、ペルーの首都リマにて盛大に祝われます。
国の領土全体で、この日をお祝いするために無数のじゃがいもが使用される大規模なイベントです。
ペルーのじゃがいもの品種について
ペルーでは、約70万人を超える人口がジャガイモの生産で生計を立てていて、19の生産地が存在します。
その品種は、なんと3500種類以上と言われているんです。
これは、世界に存在する5000種類のうちの約3500種類がペルーで栽培されているということになるから凄いですよね!
ペルーに行ったら実際に自分の目で何種類発見することができるのか楽しみです。
ペルーのジャガイモの3つのカテゴリー
色や用途の違いにより、3つのカテゴリーに分類することができます。
じゃがいもの栄養について
ジャガイモの学名は「Solanum tuberosum」といい、ナイトシェードファミリーのSolanum属に属する草本植物の一種です。
じゃがいもは炭水化物というのは皆さんよくご存じかと思います。
栄養素は、ビタミンC・ビタミンB6・ミネラル(カリウム・鉄・亜鉛・マグネシウム)が豊富に含まれるものの、カロリーはお米の約半分と言われています。
・体内の毒素を抜く
・皮膚を強化する
・心臓発作から守る
・癌や変性疾患の予防に役立つ
・老化を防止できる
さらに皮も食べると良いことがあるんですよ。
ご存じでしたか?
・繊維によって糖分の吸収が緩やかになる
・食後における急激な血糖値上昇を抑える働きがある
→消化器系の良好な機能を維持するのに役立つ
じゃがいもは消化が良い食品なので、年齢問わず食べることができるのも利点ですね。
じゃがいもの色によっても特徴があるようです。
じゃがいもの色別の特徴
濃い黄色の果肉の品種
カロテノイドの一種であるゼアキサンチンが含まれている。
→網膜に良いので眼精疲労や視力改善など目の健康を助ける
紫と赤の果肉の品種(シャドークイーン他)
ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれている。
→動脈硬化などの生活習慣の予防改善
→活性酵素の発生を抑制(癌の予防・シミやシワの予防)
→目の血流を良くして疲れ目に効果的
在来種のジャガイモ
優れた抗炎症作用があり胃がんから身を守る
ペルーのじゃがいも料理
パパ・アラ・ワンカイーナ
カラプルクラ
オユキト
カウカウ
チャウファイニータ
カウサ・レジェナ
パパ・レジェナ
ロモ・サルタド
アヒ・デ・ガジナ
→詳しいレシピを知りたい方はこちらをクリック(準備中)
近年のペルーのじゃがいも事情
世界中で約140万人が主食としてジャガイモを消費。
その総生産量は3億トン超!!
Minagri(農業リスク省)によると、
ペルーでの2018年のジャガイモ生産量は510万トン(国内市場では90%)に達し、中南米でトップ。世界で14番目の地位を占めています。
国民1人あたりのジャガイモの消費量は年間80kg。
日本人は年間21.3kgなので、約4倍も食べていることになります。
現在、INIA(国立農業研究所)には6,408種類の在来種のジャガイモの記録があるそうですが、そのうち36%はクスコ地域が原産。
やはり高地がジャガイモの栽培に適しているってことですね。
【まとめ】ペルーのじゃがいもに関する豆知識
・ジャガイモはペルーから世界に広まった ・ペルー人にとってジャガイモは主食である ・ペルー人のジャガイモ年間消費量は日本人の約4倍 ・ペルーに存在するジャガイモの種類は3000種以上 ・ペルーでは古代より多品種栽培という手法を用いられていた
コメント